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第43話 誤解を招く発言

last update Terakhir Diperbarui: 2025-05-30 10:25:46

 え? 婚約破棄? 本当にしてくれるのだろうか? でも、もしそうなら願ったり叶ったりだ。

「はい、どうぞよろしくお願いいたします」

笑みを浮かべて頭を下げた。

「……へ?」

一瞬ベルナルド王子は固まり……次の瞬間、我に返ったかのように訊ねてきた。

「おい。今俺は婚約破棄させてもらうぞ、と言ったんだぞ?」

「はい。是非、婚約破棄して下さい。そうですね……。出来れば早急にお願い出来ますか? 今日中に出来ればいいのですけど。あ、ひょっとして婚約破棄って上を通さなければならないのでしょうか?」

「な、何だ? 上を通すとは……」

「ええ。ですから…通常だと大事な決定を仰ぐには上司の許可が必要なのですが、この場合だと、上というのは国王陛下のことをさします。つまりベルナルド王子のお父様です」

「あ、ああ。確かに父の許可は必要かも知れないが……」

「ならお城に帰宅後、速やかに国王陛下にお伝え願えますか? ご在宅ですよね? 私も父に婚約破棄されたと伝えておきますので。それでは早急に手続きお願いいたします」

そして再度頭を下げた。

「お前……。本気でそんなこと言っているのか?」

「ええ、本気です。第一ベルナルド王子は私のことを嫌っておいでですよね?」

「うっ!」

「お話によると、別に私達の婚約は政治が絡んだ婚約ではありません。私が無理やりベルナルド王子と婚約関係を結ばせてしまったわけですよね?本当に申し訳ございませんでした。もう二度とベルナルド王子にはまとわりつきません。お約束いたします」

「……」

何故か呆気に取られた顔で私を見つめる王子。しかし、次の瞬間。

「フワッハッハッハッ!!」

両手を腰に当てて胸を反らせて大笑いする。……何だろう? 嬉しすぎて笑っているのだろうか?

「そんなに嬉しいのですね? 私もとても嬉しいです。これで丸く収まりますね」

しかし、私の言葉にカチンときたのか王子の顔が険しくなる。

「おい! 何故お前まで喜ぶ! 喜んでいいのはこの俺だけだ! お前は本来俺に婚約破棄を言い渡されて嘆き悲しむべき立場にあるはずだろう!?」

「え? 私が? 何故ですか?」

どうして私が婚約破棄を言い渡されて喜んではいけないのだろう?

「そうか……分かったぞ?」

「何が分かったのですか?」

「お前……ひょっとすると、さっきの男と浮気していたな!? いや、あの男に鞍替えしたな!? あい
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